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I can hear you.

¥1,200 税込

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一年半ぶりに制作した写真集。
お守りとして持ち歩けるように、A6判という小さな本にしました。ちょうど母子手帳と同じサイズ。48ページ、写真31点。制作の過程やステートメントを記載した、3,000字程度のテキストを同封します。

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一歳になる前に両親が離婚し、実母と離別しました。それ以来一度も会っておらず、記憶も写真も残っていません。母の存在は常に「不在」でありながら、私にとって神秘的な存在であり、好奇心の対象でもありました。その時々で波はありつつも、三十年間、母のことを想わなかった日は一日もありません。
自分の結婚や友人たちの出産をきっかけに、母への思いは加熱しました。母は私と過ごした短い時間に、何を思っていたのか。ふとした時に、大学院時代の恩師が「あなたはきっと『本当のお母さん』に愛されていた、それは今のあなたを見れば分かる」と言ってくれたのを思い出しました。その先生は臨床心理学のフィールドで、たくさんの乳幼児やお母さん、お父さんと出会ってきた人でした。
写真という手段で母と向き合うことを決意した時、私に必要なのは「今ここにいる自分」を撮影することだと思いました。母が名付けてくれた「京花」にちなんでチューリップを飾り、自分自身をセルフポートレートとして撮影し、その写真と、母と父が撮りあったものと思われるわずかに残った幼少期の写真を同じ色調に揃え、過去と現在をつなげました。一時は制作が止まり、気がつけば二年近くの月日が経ってしまいましたが、再びその写真たちと向き合い、目には見えない記憶を編むように一冊の本にまとめました。
これは、母の不在に耳を澄まし、見えない声と繋がろうとする私自身の試みです。静かな部屋の中で、確かに何かが聞こえる——写真は、その気配を捉えるための、私の大切な手段です。

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「目には見えないものと交信する」という点において、前作Far Calls Coming Farと地続きのような作品です。目に見えないものとの交わりは、わたしの写真制作に通底するテーマなのかもしれません。

本作の制作にあたり、支えてくださったすべての方々に感謝申し上げます。
特に、実母が残してくれたわずかな痕跡に導かれ、写真という方法によって自身と向き合う時間を持てたことに、深く感謝しています。目には見えない多くの存在が、この小さな作品を支えてくれました。
本作に含まれる数点の写真は、撮影者の詳細が不明ですが、実母が撮影した可能性のあるものです。幼少期に離別し、その後一度も会うことのなかった母の痕跡をたどる中で、家族のアルバムに残されていた写真たちです。著作権者との連絡は不可能であるため、本作品では記録的資料として、また個人的な記憶をめぐる作品の一部として使用しています。万が一問題がある場合は、誠意をもって対応いたしますので、お問い合わせフォームよりご連絡ください。

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